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チュートリアル 1: 例題で学習しよう¶この最初のチュートリアルでは、簡単な登録フォームを使用したアプリケーションをゼロから作成する手順を見ていきます。 また、フレームワークの動作の基本的な側面を説明していきます。もしあなたが Phalcon のコード自動生成ツールに興味があるのでしたら、次のドキュメントを参照ください。 developer tools. このガイドを使用する最良の方法は、順番にそれぞれのステップに従うことです。完全なコードは、ここ から取得することができます。 ファイル構造¶Phalcon はアプリケーション開発において特定のファイル構造を強制しません。Phalcon は疎結合になっているため、あなたのやりやすいファイル構造でアプリケーションを実装することができます。 このチュートリアルの出発点として、次のような構造にしてみましょう。 tutorial/
app/
controllers/
models/
views/
public/
css/
img/
js/
Phalcon に関連した “library” ディレクトリを必要としないことに注意してください。フレームワークはメモリ内で利用可能となっています。 続ける前に、必ず Phalcon のインストール(installed Phalcon)と、Nginx、Apache、Cherokee のいずれかの設定をしておいてください。 Bootstrap¶あなたが最初に作成する必要のあるファイルは bootstrap ファイルです。このファイルはとても重要であり、アプリケーションのベースとなり、すべての側面をコントロールすることを可能にします。このファイルでは、コンポーネントの初期化だけでなく、アプリケーションの振る舞いを実装することができます。 結局のところ、下記の3つを行う事になります。
オートローダの設定¶bootstrap の最初の部分では、オートローダを登録しています。これは、アプリケーション内のコントローラやモデルなどのクラスをロードするために使用されます。例えば、アプリケーションの柔軟性を増加させる、コントローラの1つまたは複数のディレクトリを登録することができます。この例では、Phalcon\Loader コンポーネントを使用しています。 これにより、様々な方法でクラスをロードすることができますが、この例ではあらかじめ定義されたディレクトリに基づいてクラスを検索することにします。 <?php
use Phalcon\Loader;
// ...
$loader = new Loader();
$loader->registerDirs(
[
"../app/controllers/",
"../app/models/",
]
);
$loader->register();
依存性の管理¶Phalcon で開発する際に、理解するべき非常に重要なコンセプトは DI コンテナ(dependency injection container)です。複雑そうに聞こえますが、実はシンプルで実用的なものです。 サービスコンテナは、アプリケーションが機能するために使用するサービスをグローバルに保存する入れ物です。フレームワークはコンポーネントを必要とするたびに、サービスに決められた名称でコンテナに問い合わせます。Phalcon はとても疎結合なフレームワークです。Phalcon\Di は接着剤として機能し、透過的にさまざまなコンポーネントを統合し、協調して動作できるように機能します。 <?php
use Phalcon\Di\FactoryDefault;
// ...
// DIコンテナを作る
$di = new FactoryDefault();
Phalcon\Di\FactoryDefault は Phalcon\Di の亜種です。処理をシンプルにするため、Phalcon に付属しているコンポーネントのほとんどが登録されています。 従って、それらをひとつひとつ登録するべきではありません。あとで生成するサービスを変更しても問題ありません。 次のパートでは、フレームワークが view ファイルを探すディレクトリを示す “view” サービスを登録します。 view ファイルはクラスでないため、オートローダで補完されません。 サービスを登録する方法はいくつかありますが、このチュートリアルでは無名関数 ( anonymous function ) を使用します。 <?php
use Phalcon\Mvc\View;
// ...
// ビューのコンポーネントの組み立て
$di->set(
"view",
function () {
$view = new View();
$view->setViewsDir("../app/views/");
return $view;
}
);
次に、Phalcon により生成されるすべての URI に “tutorial” が含まれるように、base URI を登録します。 これは、このチュートリアルで、ハイパーリンクを生成するために、 Phalcon\Tag を使用する際に重要になってきます。 <?php
use Phalcon\Mvc\Url as UrlProvider;
// ...
// ベースURIを設定して、生成される全てのURIが「tutorial」を含むようにする
$di->set(
"url",
function () {
$url = new UrlProvider();
$url->setBaseUri("/tutorial/");
return $url;
}
);
アプリケーションリクエストの対処¶このファイルの最後のパートで、Phalcon\Mvc\Application を見つけるでしょう。この目的は、リクエスト環境を初期化し、リクエストのルートを決め、発見したアクションを起動することであり、処理が完了した際にレスポンスを集約し、返却することです。 <?php
use Phalcon\Mvc\Application;
// ...
$application = new Application($di);
$response = $application->handle();
$response->send();
全てまとめると¶tutorial/public/index.php は次のようになります。 <?php
use Phalcon\Loader;
use Phalcon\Mvc\View;
use Phalcon\Mvc\Application;
use Phalcon\Di\FactoryDefault;
use Phalcon\Mvc\Url as UrlProvider;
use Phalcon\Db\Adapter\Pdo\Mysql as DbAdapter;
// オートローダにディレクトリを登録する
$loader = new Loader();
$loader->registerDirs(
[
"../app/controllers/",
"../app/models/",
]
);
$loader->register();
// DIコンテナを作る
$di = new FactoryDefault();
// ビューのコンポーネントの組み立て
$di->set(
"view",
function () {
$view = new View();
$view->setViewsDir("../app/views/");
return $view;
}
);
// ベースURIを設定して、生成される全てのURIが「tutorial」を含むようにする
$di->set(
"url",
function () {
$url = new UrlProvider();
$url->setBaseUri("/tutorial/");
return $url;
}
);
$application = new Application($di);
try {
// リクエストを処理する
$response = $application->handle();
$response->send();
} catch (\Exception $e) {
echo "Exception: ", $e->getMessage();
}
ご覧のように、bootstrap ファイルはとても短く、追加のファイルを読み込む必要はありません。柔軟な MVC アプリケーションの設定が、30行足らずのコードで行えるのです。 コントローラの作成¶デフォルトでは、Phalcon は “Index” という名称のコントローラを探します。これは、リクエスト内でコントローラまたはアクションが省略されている場合の出発点となります。index コントローラ (app/controllers/IndexController.php) は、次のようになります。 <?php
use Phalcon\Mvc\Controller;
class IndexController extends Controller
{
public function indexAction()
{
echo "<h1>Hello!</h1>";
}
}
コントローラクラスには、”Controller” という接尾語をつける必要があり、コントローラアクションには、”Action” という接尾語をつける必要があります。あなたがブラウザからアプリケーションにアクセスしたならば、次のように見えるでしょう。 おめでとうございます。あなたは Phalcon で飛び立つことができました! View へのアウトプットの送信¶コントローラーから画面に出力を送信することは時に必要ですが、しかし MVC 主義者のコミュニティが証明するように、望ましくはありません。レスポンスを返せるために画面上に出力するデータ全てを view に渡す必要があります。Phalcon は、最後に実行されたコントローラとして指定されたディレクトリ内部の最後に実行されたアクションと同じ名前のビューを探します。今回の場合は(app/views/index/index.phtml)です。 <?php echo "<h1>Hello!</h1>";
私たちのコントローラー(app/controllers/IndexController.php)は、今はアクションの定義は空です。 <?php
use Phalcon\Mvc\Controller;
class IndexController extends Controller
{
public function indexAction()
{
}
}
ブラウザの出力は同じままにしてください。アクションの実行が終了すると Phalcon\Mvc\View スタティックコンポーネントが自動的に生成されます。View の使い方について詳しくは こちら を参照ください。 サインアップフォームのデザイン¶今度は、index.phtml を編集して、「signup」という名前の新しいコントローラーへのリンクを追加してみましょう。目標は、ユーザーがアプリケーションにログインできるようにすることです。 <?php
echo "<h1>Hello!</h1>";
echo PHP_EOL;
echo PHP_EOL;
echo $this->tag->linkTo(
"signup",
"Sign Up Here!"
);
生成された HTML コードは、新しいコントローラーへリンクをしているアンカー(“a”)タグです。 <h1>Hello!</h1>
<a href="/tutorial/signup">Sign Up Here!</a>
タグを生成するには、Phalcon\Tag を使用します。このユーティリティクラスによって、フレームワークの規約に従ったHTMLタグを生成することができます。HTML生成機能の詳細については、 ここ を参照してください。 以下が、Signup コントローラーです(app/controllers/SignupController.php)。 <?php
use Phalcon\Mvc\Controller;
class SignupController extends Controller
{
public function indexAction()
{
}
}
空の index アクションは、ビューに何も渡しません。ビューでは、フォームが定義されています(app/views/signup/index.phtml)。 <h2>
Sign up using this form
</h2>
<?php echo $this->tag->form("signup/register"); ?>
<p>
<label for="name">
Name
</label>
<?php echo $this->tag->textField("name"); ?>
</p>
<p>
<label for="email">
E-Mail
</label>
<?php echo $this->tag->textField("email"); ?>
</p>
<p>
<?php echo $this->tag->submitButton("Register"); ?>
</p>
</form>
ブラウザーでフォームを確認すると、以下のように表示されるはずです。 Phalcon\Tag はまた、フォーム要素を組み立てるのに役に立つ方法を提供します。
送信ボタンをクリックすると、「signup」コントローラーの「register」アクションが見つからない、という例外が投げられることに気づくはずです。 public/index.php が以下の例外を投げています:
以下のようにメソッドを実装すれば、例外が無くなります: <?php
use Phalcon\Mvc\Controller;
class SignupController extends Controller
{
public function indexAction()
{
}
public function registerAction()
{
}
}
送信ボタンをもう一度クリックすると、空のページが表示されるでしょう。ユーザーが入力した名前とEメールアドレスは、データベースに保存すべきです。MVC のガイドラインによると、データベースとの連携はモデルで行わなければなりません。そうすることで、きれいなオブジェクト指向のコードを保つことができます。 モデルの作成¶Phalcon は、PHP に初めて全て C 言語で書かれた ORM を提供します。ORM は開発の複雑さを増幅させるのではなく、開発をシンプルにしてくれます。 最初のモデルを作る前に、Phalcon の外でマッピングするデータベースのテーブルを作る必要があります。登録したユーザーの情報を保存するシンプルなテーブルは、以下のように定義できます: CREATE TABLE `users` (
`id` int(10) unsigned NOT NULL AUTO_INCREMENT,
`name` varchar(70) NOT NULL,
`email` varchar(70) NOT NULL,
PRIMARY KEY (`id`)
);
モデルは app/models ディレクトリに配置してください(app/models/Users.php)。モデルは「users」テーブルをマッピングします: <?php
use Phalcon\Mvc\Model;
class Users extends Model
{
public $id;
public $name;
public $email;
}
データベース接続の設定¶データベース接続を使用できるようにし、モデルからデータにアクセスできるようにするため、bootstrap の途中でデータベース接続を明確にする必要があります。データベース接続は、アプリケーションが所有し、他のコンポーネントで利用可能なサービスです: <?php
use Phalcon\Db\Adapter\Pdo\Mysql as DbAdapter;
// データベースサービスのセットアップ
$di->set(
"db",
function () {
return new DbAdapter(
[
"host" => "localhost",
"username" => "root",
"password" => "secret",
"dbname" => "test_db",
]
);
}
);
正しいデータベースのパラメーターが設定されれば、モデルが使用可能になり、アプリケーションの他の部分とやりとりできるようになります。 モデルを使用したデータの保存¶次のステップでは、フォームからデータを受け取って、テーブルに保存します。 <?php
use Phalcon\Mvc\Controller;
class SignupController extends Controller
{
public function indexAction()
{
}
public function registerAction()
{
$user = new Users();
// データを保存し、エラーをチェックする
$success = $user->save(
$this->request->getPost(),
[
"name",
"email",
]
);
if ($success) {
echo "Thanks for registering!";
} else {
echo "Sorry, the following problems were generated: ";
$messages = $user->getMessages();
foreach ($messages as $message) {
echo $message->getMessage(), "<br/>";
}
}
$this->view->disable();
}
}
まず、Users クラスをインスタンス化します。これはユーザーのレコードに対応しています。クラスの public プロパティは、users テーブルのレコードのフィールドをマッピングしています。適切な値を新しいレコードに設定し、 ORMは自動的に入力値をエスケープし、SQLインジェクションを防ぎます。リクエストを:code:`save()`メソッドに渡すだけでよいのです。 Not Null (必須パラメーター) 制約の課されたフィールドには、自動的にバリデーションが追加されます。登録フォームに何も入力しなければ、以下のように表示されます: まとめ¶この簡単なチュートリアルで分かるように、Phalcon でアプリケーションを作り始めることは簡単です。Phalcon が Web サーバの拡張で動作するという事実は、開発のしやすさ、または機能の使いやすさを阻害する訳ではありません。マニュアルを読み進める事で、Phalcon が提供する様々な機能を知ることができるでしょう! |